先生とシンデレラ

「蓮君のお姉さんの事は知ってるよね。」

…何でここで真衣さんが？
そう思いながらもとりあえず相槌を打つ。

「はい。」

「真衣と私は中学からの親友なの。真衣の家にしょっちゅう行かせてもらってたから、蓮君とはその時からの付き合いなんだ。」

「…えっ、そうなんですか。」

なんだ。

っていうか…すごい。

中学からずっと関係が続いてるなんて。

「真衣はその時から綺麗で読者モデルとかやってて。私はそれに影響されてウェディングプランナーとか、スタイリストを夢見る様になって高校卒業後は真衣はモデル業に専念する事になったし、私は専門学校。生活リズムも変わってきて連絡も取らなくなって…まぁ、当たり前だよね。一般人とモデルとじゃ。」

クスクス笑って。

「…でも、この前偶然仕事で再開したの。すごいでしょ？」

「…はい、本当に。お二人は本当に仲が良くてお互い高め合える存在だからきっと再開したんですね。」

私がそう言うと少し驚いた様に
「え、どうして？」
と言った。

「だって、真衣さんのおかげで夢を見つけたんですよね？きっとそれは麻衣さんも同じだったと思うんです。支えてくれる人がいたからこそモデルを目指せたんですよ。」

私はゆっくりと笑って。

「その夢を今では2人ともちゃんと叶えて…本当に凄いです。」

私が話し終えると女の店員さんはすごく優しい顔で笑って
「ありがとう。」

「…え、あ、いや、私は本当の事を言っただけで…」

私が顔にかかった髪をのけながらそう言うと。

「真衣に、蓮君と女の子が行くからドレス選んであげて、って言われた時はまさかお嫁さんだとは思わなかったけど。でも、蓮君が貴女をお嫁さんにする理由わかる気がする。」

本当のお嫁さんじゃ無いのに。

先生の本当のお嫁さんになるべき人は別にいるのに。

私じゃない、誰かなのに。

そう言われて嬉しいはずなのに切なかった。

「…ありがとうございます」

「こんな可愛い女の子がお嫁さんに来てくれるなんて、蓮君は幸せ者だね。」

苦笑するしかない。

「私、一宮由紀。貴女の事、もっと教えて欲しいな。」

「あ、私は、長谷川羅々ですっ…。こちらこそ…っ。」

急いで立ってぺこりとお辞儀すると雪さんはまた笑い出した。