とりあえず「好き」。



「じゃ、また明日ね」



優羅とはいつも駅でバイバイ。

駅から家まで歩いて15分、
この距離が本当に遠くて仕方ない。



「ねぇ、お姉さん1人?」


「はっ?」


「え〜意外に可愛い。
俺たちと仲良く遊ぼうよ♪」



まるで仲良しかのように、
簡単にあたしの肩に腕を回してきた。



「や、やめてくださいっ…」


「いいじゃんいいじゃん!」



こんなひどいナンパ初めて。
走って逃げるべきだよね。



「急いでますからっ…」


「つべこべ言わず…ドカッ!」



え?なに?ドカッてなに?



「やめろよ」



ナンパ男は殴られたのか、
その場に倒れ込んでいる。



「さっさと失せろ」



えっ、こっわ………!!


ナンパ男はよほど怖かったのか、
それとも痛かったのか
足早にその場を去っていった。


あっ、お礼!



「ありがとうございました!」



やっとしっかり顔を……


って、なにこのイケメン…!!



光に当たると少し茶色い髪の毛を
軽くセットしていて、
二重なのに少しキリッとした目、
鼻筋の通った鼻、薄い唇。


ニキビ1つない綺麗な肌に、
女のあたしよりも小さい顔。




『王子様フェイス』


少女漫画に出てくるような、
こんなイケメン人生で二度と出会えない。



………気がする。