彼氏に一方通行

「遠慮じゃないです」

きっぱりと言ってやらないとわからないみたいなので、半ベソかいてだらしなく緩んだ顔を、頑張ってキリリと引き締め、もう一度断った。



「そっ。じゃ、一緒に泳ご?」


軽い口調でそう言って、知らない男はシッと私の肩を抱く。地肌に直接触れてきた田所以外の男の手に、激しく拒否反応。

咄嗟に私、それを乱暴に振り払った。



「触らないでよっ!」

「いいじゃん、泳ごうよ。一人なんでしょ?」

「一人でこんなとこ来る訳ないじゃん! 彼氏と一緒だよ」

「その彼氏はどこよ?」


そう聞かれ、答えられずに思わず口ごもってしまった。



「ああほら、喧嘩したんだろ? 奇遇だねー、俺も彼女怒らせちゃってさー」

言って男はヘラヘラっと笑った。