伊織君は和樹にipodと銀色のサンバホイッスルを渡して
「曲の終りの方聴いて見てよ。同じ様な音出してみて。サンバホイッスルの音、だいたいわかるよね」
曲を一回聞いた和樹がホイッスルを吹く。
「うーん。違うなぁ。もう一回吹いて見て」
「ピーッピッー」
「それは集合の音」
「ピーッピー」
「だめ、それは回れ右」
「ピーっピー」
「それは敬礼」
「なっ何が違うんだよ」
「うーん。ほら、この頭のてっぺん位から上に向かって抜けるって感じで胸のワクワク感を入れてさ」
「はぁー。もしかして伊織君って絶対音感持ってる?」
亜美が和樹に冷たい視線を浴びせながら伊織君に聞いた。
「先生に言われた事あるかな」
「和樹がバカに見える……」
亜美がとても失礼な事をポツリと言う。

