それから三十分ぐらいして亜美が和樹を引きつれてライブハウスにやって来た。


健也君が隣に居た私に向かって


「あの子、スッゲー可愛い。俺のもろタイプ」


「ダメよ。亜美には彼がいるのよ」


「別に関係ないっしょ。彼が居てもこっち向かせりゃ、こっちのもんだし」


呆れた視線を送りながら


「健也君は彼女いないの?」


ニヤリと私に笑いながら


「特定の彼女はいないよ。遊ぶ女の子なら色々いるけど。そういうとこは伊織と一緒かな。沙織ちゃん……伊織と付き合うの大変じゃない?」


「伊織君とは……そんなんじゃないから」


伊織君にも……


遊ぶ女の子が沢山いるんだ……。


伊織君が言う、そう言う対象の女の子が色々いるんだ。


そう思うと全身に鳥肌が立ってきた。


「陸君は彼女いないの?」


「陸?今はいないんじゃない。あいつ、真面目だし母親のガードが固いからね」


「前に大事にしていた子がいたけど……あいつのファンの子の苛めに合ってね。結局、陸が振られた形になったみたい」


「そう、陸君はモテルのに真面目なんだ」