ライブハウスの前に来ると入口が開いていた。


中に入り細長い廊下を抜けると、スタジオに入るドアの前でしゃがんだ状態で中の様子を見ている女の子がいた。


私たちが近づくと


「きゃっ」
っと悲鳴を上げて立ち上がり振り向いた。


「あっー。ファンの人ですか?」


そう聞いて来たので


「うーん。ファンって言うか陸君と伊織君の友達かな?」


愛子が答えた。


その子はほっとして肩の力を抜いた。


「良かったー。今日はファンの子は立ち入り禁止だって聞いてたから見に来たんだけど-、一人で中に入り難くて……」


大人しそうなその子は中に入りたそうにしている。


その子は中に居るバンドの誰かの特別な女の子のように思え聞いてみた。


「もしかして……誰かの彼女?」


「うん・・・。幸広の……彼女です」


「それじゃぁ遠慮することないじゃん」


愛子がその子の背中を叩く。


「でもね……ちょっと中の様子が険悪な雰囲気で……」


その子はそう言ってドアの方を指刺した。


私と愛子とその女の子と三人はそっとドアを開けて中の様子を伺った。