「病み上がりだから……多分、お母さんに怒られる」 「それじゃぁ、送ってく。夜道が心配だ」 少し、命令口調だった。 私はもう一度目を閉じた。 やはり、伊織君にとって私はあの小学六年生のままなんだ。 どんなに身体は成長してもあの時のままでしか見えてないんだ。 それなのに私は…… 伊織君の指や手や唇や瞳に大人の男性へと成長した伊織君にドキドキしてる。 私は……今の伊織君が好きだ。 昔の伊織君に感じた事のなかった感情…… 私は……壊れそうな今の伊織君が好きだ。