私の唇にたまに触れる伊織君の指…… 伊織君の唇にたまに触れる私の指…… 変な……感覚だった。 そして、全部食べ終えると 伊織君が私の唇を指でなぞりながら 「今、沙織ちゃんにキスしたら……枇杷の味がするんだろうな」 そう言って伊織君は立ちあがって ティッシュの上に置かれた枇杷の種と空になったガラスの器を持ってキッチンに向かった。 あの目はドキリとした。 キスされるんじゃないかと……少しだけ期待したけど 違ってた。