中央には小さなテーブルがあって、伊織君は剥いた枇杷をそのテーブルの上のガラス容器に入れている。
皮はティッシュの上だ。
CDを聞いていたようでSA○の音楽が流れていた。
「SA○の音楽聞いていたの?」
「うん、バンドのみんなが半分諦めモードでさ。やるしかないって感じ」
全て剥き終えて、隣接してあるキッチンに向かって手を洗い始めた。
「ねぇ、その傷どうしたの?」
手を洗って戻って来た伊織君が隣に座りながら
「陸に殴られた」
「……?」
「り、陸君?陸君がどうして?」
「沙織ちゃんが重病なの知ってるか?って聞くから知らないって答えたらいきなり殴られた」
「沙織ちゃんをお前の取り巻きと一緒にするなってさ」
「一晩遊んでそれで終わりなのかって……」

