ガラガラガシャン!!



「最悪……」
ジーンズは膝の辺りから太ももまで破けて,着ていたチュニックも自転車が引っ掛かったのか裾の方が少し裂けていた。

無事だったのは籠の中にきっちりと納まった枇杷の枝とカバンだけだった。

膝が擦り剥けかなりの血が流れている。

顔を上げるとこの前の雨の夜に雨宿りした薬局の灯りが見えた。

こんな状態で伊織君に会うのは恥ずかしい。

取りあえず膝の傷から出ている血を拭いて絆創膏でも貼ろう。

あの薬局で絆創膏と消毒液を買おうと自転車を押して薬局に向かった。

薬局の前で自転車を立て掛けていると
「沙織ちゃん……?」

ちょうど薬局から出て来た伊織君とばったり会った。

「沙織ちゃん……どうしたの?」

薬局の灯りで浮かび上がったボロボロの私を見て驚いている。

そんな伊織君の顔も唇の端から血が滲み出ている。

「伊織君こそ、その顔どうしたの?」