冬休みが終わって学校帰りに二人切りになる事はあったけど伊織君はあまり喋らなくなった。
私はバカで先の事なんか何も分かっていなくて伊織君が喋らなくなった理由ばかり考えていた。
それはきっと私たちのひみつ基地が無くなったせいだとずっと思っていた。
卒業式の日の夕方伊織君が私の家に来た。
「もう、会えないからこれ、クリスマスに渡せなかったプレゼント」
渡されたのは木彫りのペンダントだった。
伊織君は自分が掘ったと言った。
「もう、会えないって?」
「僕、沙織ちゃんとは違う中学に通うから」
違う中学に通うと言う事はもう伊織君とは会えなくなると言う事なんだと初めて分かった。
「でも、たまに出会う時もあるかも知れないから、その時は声をかけてね」
伊織君のその言葉はもう二度と会えないわけじゃなくて私に少しの希望を持たせてくれた。
「うん。声掛けるよ」
私はそう笑って答えた。
伊織君もニッコリ笑ってくれた。
でも、中学に入ってからは一度も伊織君に会う事は無かった。
あの、卒業式の日から一度も伊織君に会う事はなかった。
私はバカで先の事なんか何も分かっていなくて伊織君が喋らなくなった理由ばかり考えていた。
それはきっと私たちのひみつ基地が無くなったせいだとずっと思っていた。
卒業式の日の夕方伊織君が私の家に来た。
「もう、会えないからこれ、クリスマスに渡せなかったプレゼント」
渡されたのは木彫りのペンダントだった。
伊織君は自分が掘ったと言った。
「もう、会えないって?」
「僕、沙織ちゃんとは違う中学に通うから」
違う中学に通うと言う事はもう伊織君とは会えなくなると言う事なんだと初めて分かった。
「でも、たまに出会う時もあるかも知れないから、その時は声をかけてね」
伊織君のその言葉はもう二度と会えないわけじゃなくて私に少しの希望を持たせてくれた。
「うん。声掛けるよ」
私はそう笑って答えた。
伊織君もニッコリ笑ってくれた。
でも、中学に入ってからは一度も伊織君に会う事は無かった。
あの、卒業式の日から一度も伊織君に会う事はなかった。

