「ごめん……僕の言い方が悪かった」


私は泣きながら首を振った。


何を言っても信じて貰えない状況で、私は言いわけも出来ずに泣く事しか出来なかった。


ズルズルとフェンスに凭れてしゃがみ込んだ私に陸君は何度も謝ってくれたが、涙が止まらなかった。


そのせいで昼休みが終わって、屋上にいた人たちが居なくなっても教室に戻らずに陸君と二人屋上で放課後まで過ごした。


本当の伊織君を知っている私。


本当の伊織君を知らない陸君。


陸君が逆に伊織君を問い詰めても伊織君はきっと私との事は弁解しないはずだ。


日が傾きかけて来てグラウンドから運動部の掛け声が聞こえて来た。