「あの時さ……沙織ちゃん……お風呂に入って裸のまま部屋をウロウロしたり、そのまま寝転んだりしたよね」
「……」
「今の俺見てどう思う?あの時の俺はそんな思いで沙織ちゃんを見ていたんだよ。大人にも成れていない、子供でもないあの多感な時期に好きな子の裸を見せられて……どんな気持ちだったか分かる?」
伊織君の大きく吊りあがった黒目勝ちな目から視線を外せなかった。
怖い……
私の身体が震え出した。
「思いだせよ。自分がしていた事……思い出せよ」
そう言われて私はゆっくり目を閉じた。
あの二人のひみつ基地はお祖母ちゃんの家で、いつもお祖母ちゃんと一緒のお風呂に入ると、裸のまま夕涼みをしていたので、伊織君と居た時もその習慣がついていてそんな行動を取っていたのを思い出した。
「ごめん……伊織君……思い出した」

