光哉は透かさず私の手を握ってその場を急ぎ足で歩きだした。

私は伊織君ともう少し一緒にいたかったけど光哉が怒っているようなので仕方なく後に続いた。


玄関で先に私たちを待っていてくれた亜美と和樹は私たちに手を振ってこっちに来るように手招きしている。

「愛子がね……待たなくていいから先に帰ってくれって」

「え?大丈夫なの?もう八時を過ぎてるよ」

亜美は首を振って
「もう……無理だって。愛子のあの状態。陸君から離れそうにないよ」

「回りの取り巻きのファンの子たちと喧嘩になるんじゃないのか?」

光哉が心配そうにまだキャーキャーと騒いでいる女の子の集団がいるライブハウスの玄関口を見てそう言った。

あの輪の中心にはシークレットのメンバーが居るはず。

「大丈夫でしょ。愛子は強いから」

うん。


あの中でも負けずに陸君を奪い取る元気は愛子にはある。