嵐のような二人(杉下くんは違うか)は、去っていく。
嵐が去ったあとは静けさが残るだけだった。
「座ろうか」
「そう、ですね。俺お腹減りました」
「私もちょっと疲れた」
咲達が座っていた席に着く。
冷たい飲み物を一口。
聖ちゃんは照り焼きの包み紙をがさがさと取る。
「杉下、せんぱい?はバスケ部ですか?」
「そうだよ。確かディフェンス。よくわかったね」
「鞄にストラップ付けてたんで、そうかなぁって」
「咲からの御守りらしいよ。手作りだって」
「へぇ。……ちょっと、(羨ましい)」
「柏木くんもバスケ部だよね。いつも楽しそう」
「そうですか?」
「うん。部活の話してるとき、キラキラしてる」
「それは……恥ずかしいっすね。なんか」
「杉下くんと対決するとこ見たいなぁ。フリースローとか」
「勝ちますよ」
「えー、本当?」
「川崎さんが応援してくれれば勝てます」
その時、聖ちゃんの力強い目に引き込まれそうで、心臓が大きな音をたてた。
やば、聞こえる。
「あ。手、汚れたんで洗ってきます」
「う、うん」
首を上下に動かすことしか出来なかった。
所々にストレートにぶつけられる気持ち。
恥ずかしいけど嬉しい。
私は残りのハンバーガーを食べきった。

