近くのファストフード店に入り、私はハンバーガーセット、聖ちゃんは照り焼きを頼んだ。
勿論、自分のお金で。
「払うのに……」
「だめです」
空いている席を探すと、見知った顔が……いや、気のせい。
絶対気のせい!
「え、優奈……え?」
「おー」
あ゛ぁああぁぁあああ!
「知り合いですか?」
「………うん」
ファストフード店には咲と杉下くんが居ました。
ばったり会うなんて!
ていうか、咲と聖ちゃんを会わせるなんて!
「一生の不覚です」
「え?」
「貴方が柏木聖也くん?」
「はい、えっと、」
「私、優奈の母です」
「あぁ、父です」
「えぇ!?あの初めまして、川崎さんとはあの、」
「違うよ?ねぇ、柏木くん違うんだよ?」
テンパりすぎ。
どう見ても私と同い年でしょ。
「友達の野村咲と咲の彼氏の杉下雅司くん」
「いつも優奈がお世話になってます」
「いえ、俺の方がお世話になりっぱなしです」
「あぁ、前に川崎が言ってた聖ちゃ」
「杉下くんがこっちにいるのって珍しいね!何処いってたの?」
「え、いや。今来たとこ」
「これからまーくんと買い物 デート なの」
咲はちゃっかりデートを強調した。
さらに聖ちゃんをチラ見して、にっこり笑う。
聖ちゃん、顔赤い……。
「じゃ、まーくんそろそろ行こう?」
「あぁ。また明日。川崎と……柏木も」
「じゃねー!優奈、」
咲が私に近づいて口を耳元に近づける。
「が・ん・ば・っ・て・ね」
「っ、はぁ!?」
「顔まっかー!ばいばーい」

