年下恋心




「聖也が訊きたいことあるんだって」

「俺!?」



何で?


大貴を見ると目線で訴えられる。


“早く言え”

“何をだよ”

“休日どうしてるかだよ!本人に言えないんだろ?”

“……うん”



「…………川崎さんは、休日暇、ですか?」

「は?……あ、あーうん成程、ね。うん、大抵暇だよ」

「お、デートのお誘いですな!」

「うん。安土、ちょっと黙ってくれ」

「はーい」



うん、よし。

誘おう、デート……に。


デート……ってどうすれば!



「デートっていえば遊園地とか行きたいよねー」

「桃好きだよね、ジェットコースター」

「びゅーんって行くのが良いじゃん!振り落とされそうで」

「振り落とされたいのか」

「やっぱり変な子ー」



遊園地……あ、ダメだ。

これはデートじゃないんだ。

だって付き合ってねぇもん。


もっとこう、無難っていうか



「映画は?」

「映画かぁ。今何してるっけ」

「ホラーの新作見たよ!」

「うわぁ。ホラーとか無理」

「大貴見れないんだ?外国のホラーは平気なんだけどなぁ」



映画。

今見たいやつあるし(俺が)、2時間も隣に居れるし。



「川崎さん、どんなの好き?」

「どんなのって何?映画の話?」



悠里の言葉に頷く。



「んー……今あれ見たいって言ってたな。ジョニー・デップの」

「新作!私も見たーい」

「安土は何でも見るんだな」



あ。

俺が見たいやつと一緒かも。

チケット早めに買わなきゃな。



「あ、聖也に良い知らせ」

「んー?」



頭の中では何処でチケットを買うか、どうやって誘うかでいっぱいだった。

大貴の言葉に生返事を返したのは仕方ない。

恨まないでほしい。



「実はそのチケットあったりして」

「…………………はい?」



大貴は机から封筒を取り出した。

それを綺麗に封を開け、紙を2枚出す。



「これこれ。この映画を見たいって」

「何で持ってんの?」

「今さ、コンビニで買えるじゃん。親戚がパートしててさ、予約してもらったんだ」



ちゃんと買ったんだぜ、と爽やかスマイル。



「でも何で2枚?」

「いっぱいいたから2枚しか買えなかったんだよ。聖也見たいって言ってたから。どうかなぁって」



大貴!

おまえってやつは!



「ありがとう大貴!俺、この恩一生忘れな」

「言っとくがやらないぞ」

「はぁ!?」



この流れは俺にくれるだろう!

見てみろ!

二人ともぽかんってなってるだろ!