その後はよく覚えてないけど、二人とも真っ赤で連絡用にケー番渡して(私の)「暑いですね」とか聖ちゃんが言うからまた赤くなっちゃって。
家に帰った。
……。
ドキ、ドキ、ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク―――――
「 爆 発 す る ー ! 」
「ちょっと!近所迷惑でしょって何。どーしたの」
心臓の音がでかすぎて死ぬかと思った。
だって、だってアレは……。
「何。デートにでも誘われました?」
血が勢いよく流れるのを感じた。
心臓がまだ五月蝿い。
デート、デートデートデートデートデート……あぁー!
デート…日時を約束し異性と会うこと。
「あぁー!」
「五月蝿いってば。ただいまも言わずに叫ぶとか非常識」
「ごめん、ただいま」
「おかえりなさい。で、何」
「……今週末、映画見に行く」
「ふーん。で、」
「死ぬかと思った」
「全然内容わかんない。誰と、何の、映画見に行くの」
「……ひ、秘密ってかそれ以上聞かないで」
気持ちの整理が……。
「何着てくの?」
「可愛い服、持って、ない。どうしよう」
「あー出た。お姉ちゃんのどうしよう。明日買ってきたら?学校の帰りにでも」
「そか。うん、買ってくる。あ、でも……帰れない」
「ん?何か言った?」
「なんでもない」
「そ。じゃぁご飯食べよ。お母さんが作っててくれてた」
鍋の中には肉じゃが。
悠里はその後はなにも聞いてこなかった。
気を遣ってくれたのかな。
肉じゃが、美味しい。
「実は相談受けてたりして」
「ごめん、何か言った?」
「いや、別に。肉じゃが旨いね」

