聖ちゃんが迎えに来てくれる毎日が続き、1ヶ月がたった。

相も変わらず塾がある日は会えないけど、その分次の日は終始笑顔の聖ちゃん。

あ、違うな。

私の家が近づくたびにちょっと寂しそうな表情をする。

それにキュンときたのはいつからだろう。


この前までは早く家に帰りたかったのに。


今では、より長く聖ちゃんと一緒に居たいと思う。

この感情が俗に言う“恋”というやつなのかな?


……これが恋だって判断する基準はどこだろう。


ふと視線を遠くの方に向けてみた。


あ、もう着いた。



「じゃあ、またあし」

「っ、きゃ、川崎さん!」

「え、はい!」



名前噛んだ。



「あの、その……」



聖ちゃんの目線があちこち行ったり来たり。

何だろう、あ。

あぁそうか。

もう限界なんだ。


私の事を好きでいるのは。

此処まで。

意外と長かったのかも。


そこまで考えたら、胸がチクンと痛む。

まだ聖ちゃんの目線は泳いでる。



チクン、チクン…ズキ



胸の痛みが増してから分かった。



私、聖ちゃんの事、好きなんだ。