塾はみーちゃんと一緒。

咲は行ってないから「まーくんの部活見学するー。いってらっしゃーい」と、満面の笑み。

リア充ー!って二人で茶化したら、



「悔しかったら彼氏の一人や二人作ってみなさい!」

「……え、咲。え?」

「きゃー!まーくんちが、違うの!」

「…、塾行こっか」

「うん!またね」

「ちょ、こら!あ、まーくん」

「あーうん。うん、知ってる。あんまり咲をからかうな」



二人ではーいと返事して下駄箱に向かった。



「やっぱりリア充はリア充なんだね」

「ね。杉下くんは理想の彼氏だね」

「理想のカップル!」



あははと笑い合う。

今思えば変なテンションだったんだ。

みーちゃんが。

いや、私もか。



「はぁー。笑った、笑った」

「……あの、さ、優奈」

「んー」

「朝はごめん」

「……、?」

「返事の事、いろいろ言ったりして。軽薄だったなと思う」



あまり見ないみーちゃんの反省顔。



「優奈、一生懸命考えてたもんね。あー私恋愛方面で酷いこと言ってる。本当にごめん!」

「いいよ!そんな、謝らないでよ」

「羨ましいんだろうな。……私も恋したい」



その言葉はみーちゃんの独り言で、心の底にある本当の気持ちかもしれない。

それに対する返事が思い付かなくて、黙ってしまった。



「時々、酷いこと言うと思う。それでも友達でいてくれる?」

「当たり前じゃん!え、何処でどういう経緯でそんな結論に!?」

「いや、言ってみたかっただけ」



お茶目さん!

しかも美人だから許す!


そして、いつも通りのテンションで塾に望んだ。

勉強はさっぱりだけど、みーちゃんが分かりやすく説明してくれて、ちょっと分かった。

今は高校2年生の冬。

段々太陽が出てる時間も短くなるし、進路についても考えなきゃいけない(もう遅いかもだけど)。

でも、やっぱり。

やっぱり、聖ちゃんの事を考える。

この気持ちはまだ恋とは言わないけれど、初めて感じる暖かいものなんだよ。