「あ、着いた。咲起きて」
軽く肩を揺する。
んーとか言葉にならない声を発しながら目を擦ってる。
……相当眠たいな。
「夜更かしでもしたの?」
「んー……まーくんと電話してて」
やっぱりな。
「夜に声聞いたら会いたくなって、眠れなかった」
ねぇ、重い?重いかな?とみーちゃんに聞く咲。
「会いたいくらい大好きってことでしょ?それくらいじゃ重くないよ、大丈夫」
「よかったー」
「良いなぁ。そう思える相手がいて」
呟けば、止まった時間。
二人がこっちを見る。
ん?何?
「いるじゃん!柏木、聖也くんだっけ」
「あ、それが」
私が説明する前にみーちゃんが分かりやすく簡潔に説明する。
何でみんな付き合う前提で話すのかな。
無理だってば。
聖ちゃんが私を好きで居続けるかどうかもわかんないし。
ていうか、もう嫌われてるかも。
変な返事しちゃったし……いや、でも迎えに行くって言ってたな。
社交辞令とかそんなんじゃないよね?
毎日来てくれるし!
昨日は面白かったなぁ。
聖ちゃん話するの上手なんだよね。
あ、でも明日か、会えるのは。
……聖ちゃんに頼りっぱなし?
「優奈?ちょっとゆーなー!」
「え?」
「どうしたの?ぼうっとして」
「ううん、なんでもない」
「ふーん?」
「でもさ、友達からって酷じゃない?」
みーちゃんの眉間に皺がよる。
美人はどんな表情しても美人だなぁなんて、そんな現実逃避。
「私だったら、きっぱり振ってほしい」
「えー!私は可能性が0じゃないほうがいい」
「ずっと待てって言われてる感じするでしょ」
「……」
言葉がグサグサくる。
そんな気はなかったんだけど、第三者から見たらそうなるのか。
聖ちゃんも?
だったら凄い悪女じゃん。
最悪。
「……ゆ、優奈は好きになろうとしてるじゃん!柏木くんも分かってるって!」
「うわ、咲に気遣われた。死にそう」
「おい、それどういう意味だ」
「ま。来る者拒ずの私が言っても仕方ないか」
あははなんてみーちゃんは笑うけど私の心は下がる一方だ。

