悠里が作ってくれたチャーハンはとても美味しかった。

けれど無言で食べたから緊張感やら重苦しいやらで、あんまり味わえなかった。

無念。


(急いで)食べ終えた食器を片付けようと立ち上がる、前に悠里が口を開く。



「本当に、付き合ってないの?」



俯いて蓮華を口にくわえたまま喋った。

何も言わない私を不思議に思ったのか、顔をあげる。

早く何か言え、と目で訴えられた。



「だって、私の気持ち中途半端だもん。ちゃんとしっかり確かめたくて」

「友達から始めましょうって言ったの?」

「うん、まぁ。そんな感じ」

「ベタなセリフ。中学の国語やり直せば?」

「そこまで言わなくても!」

「嘘、冗談……半分だけ」

「残り半分は!?本気で言ってるの?」



フッと鼻で笑われて、立ち直られなくなった。

悠里が私の分の皿も片付けてくれた。


あれ、今日なんか優しいぞ。



「私ね、聖ちゃんの彼女はお姉ちゃんがいい」

「は?」

「聖ちゃんに失恋してほしくないのと、微妙な女の子に獲られるのが嫌」

「……だ、誰目線?」

「聖ちゃんの姉」

「そう。悠里がどう思おうと、私は中途半端なまま付き合わない」

「うん。流石、聖ちゃん。ふふ、明日からかってやろー」



悪戯っぽく笑う悠里を見て、明日の事を思う。


あ。



「悠里、伝えてほしいことが……」