自転車を押す聖ちゃんは車道側。
自然に行くからちょっと感動した。
私より少し小さい身長。
歩幅は同じくらい。
話す内容は学校や部活の事でどれも面白かった。
家の前に着いた時、一瞬だけ寂しそうな顔が見えた。
「あの、毎日迎えに行っても良いですか?」
「良いの?結構遅いよ?」
「川崎さんが迷惑じゃないなら」
首を振って迷惑じゃないことを示す。
あぁ、そうだ!
「柏木くんは、携帯持ってる?」
「……持ってません」
普通、中学生は持ってないよね。
妹は持ってるけど。
下を向いて落ち込む聖ちゃん。
小動物みたい。
「聞いてみただけなの。此処まで送ってくれてありがとう」
ぱぁっと笑顔を見せてくれた。
お互いまたねといって別れた。
自転車に乗る聖ちゃんの背中を見つめて、ふと思う。
明日、塾じゃん。

