みーちゃんの言葉を全否定して言い切った咲。

少し瞳が潤んでいるように見える。


「だってあの子、まーくんと同じ部活だし、同じクラスで席が隣って」


言ってた、と小さな声で呟いた。


「……心配なの?」

「、うん」

「そっか、そうだよね。彼氏だもんね」


歩くペースが少しずつ遅くなった咲にみーちゃんは頭を撫でた。


「杉下くんは咲の事、裏切ったりしないよ。それは咲が一番知ってると思うけど」


咲は小さく鼻を啜った。


「恋したら心が弱くなるよね」

「私、あの子の事きらい」

「うん」

「でも……まーくんを疑ってる自分が一番、きらい」

「そうだね、杉下くんに話した?」


咲は首を振る。


「重いって思われたくないもん」

「でもちゃんと言わなきゃ。杉下くんも咲の気持ちがわかんないよ」


みーちゃんは、優しい口調で言い聞かせた。

頭を撫でながら言い聞かせるのを見て、なんだか感動した。


大人に見えて置いてかれそうな気がした。


「で、なんで優奈は泣きそうなの?」

「え?」

「本当だー!」

「あ、あれ?」


少しずつ視界がぼやけていく。
泣くもんか、と空を見上げたら飛行機雲が一筋。