試合で聖也は怪我をした。
期待の新人というわけではないが、試合に出させてもらったのだ。
小さい頃からバスケは好きで一生懸命練習した。
その日は監督から練習の成果を見せてこいと言われた。
大きな試合ではないが、皆力をいれてぶつかっている。
嬉しかった。
仲間も頑張れ、行ってこいと背中を叩いてくれた。
先輩も任せたと言ってくれた。
期待に応えたかったのに。
『柏木!柏木、大丈夫か!?』
『だ、大丈夫です!』
『あいつ、お前の足踏んだんじゃ』
『先輩、違いますから!俺が挫いただけです』
『でも、』
『骨折は、してないな。取り敢えず試合続けるぞ。交代!』
『柏木……』
『俺のせい、なんです』
敵に足を踏まれた。
距離が近かったため、仕方ないときもある。
最初は気にも止めなかった。
相手にも大丈夫ですと言った。
執拗に狙われ、十分に力を発揮できなかった。
それでも、何とかしようとシュートを決めたとき、負傷した足をまた敵はまた踏んだ。
二回踏むなんて卑怯だ!
その後もシュートを入れられ、チームは負けた。
悔しい。
あのとき、足を踏まれなかったら、自分がもっと頑張っていたら。

