「あのさ、千尋くん」
「千尋でいいですよ」
千尋くんはニコッと愛想よく微笑んだ。
「悪いけど、あたし今日から居候だなんて聞いてないのよ」
「え!?でも今日から美沙さんちに住めって親には言われてるんですけど…」
千尋くんの困った表情をみてあたしも戸惑った。
そうだよね、あたしだって困るけどいきなり知らない人の家に居候する事になったあげく、無理だなんて言われたら彼だって困るよね。
・・・・なんて言えるわけねーだろ。
「そうかもしれないけど、あたしはいきなり今日から住むだなんて聞いてないし、準備だってなんにもできてないわけなの。」
言った。
言ってやった。
ちょっぴり罪悪感はあるけど。
「準備ってなんの準備ですか?」
彼は微笑みながら言う。
けれどその微笑みがなんだか怖い。
優しい顔をしているけど、案外怒っているんじゃ・・・・

