坂田家の日常




でも少なからずセージには夢(むしろ希望)があるわけだ。



俺なんか何にもない。



夢も希望も、目標とするものも。



だから内容はともあれ、セージより自分が怠け者だと思う。



「……あぁ、“願い”ならあるな」

「願い?」

「ずっと普通でいたい」

「どんな普通?」

「人生を折れ線グラフにするやつあるだろ。あれが上がり下がりなく真っ直ぐ、平行に」

「……尚斗って、実はバカなのか?」




何も起こらなくていい。

何もなくてもいい。



ただ本当に“普通”に過ごしたい。



――あの家族にいる以上、無理な気がするけど。