「ってか兄貴…頼むってなんだよ…」
「ん?言ってただろ、婿養子に行くって」
「それガチだったのか?」
「当たり前だろ〜。男に二言はねぇよ」
今さら兄貴に男を語られても……。
今まで兄貴が兄貴らしい事をした覚えもないのに、二言はないと言われても信じきれないのが本音だ。
「直樹兄……。もう何も言えない……」
「やっぱり直樹兄は直樹兄だね」
「バカは最後までバカだ」
兄貴はやっぱり、我が家の問題児だった。
そんな兄貴の結婚式が、普通に終わるわけがない。
――とある6月の、梅雨時の土曜日の夜の事だった。



