坂田家の日常




遠目から見たって、誰だかわかる。



「尚斗くーんっ!!」



手を大きく振り俺の名前を呼ぶ彼女は、変装してるのに変装してる意味なく目立ってる。



「…………」



はぁ…よりによってこんな時に……。



「尚斗君待ったよ!!遅いんだもん!!もう帰ったんだと………――誰?」



あからさまに低い声をだす彼女、雨宮奏世。



敵対心むき出しなのは丸見えだ。



「何なのよ、この子」

「奏世ちゃん、この子は小松曖ちゃんって言って、一年生だよ」

「一年?何で尚斗君と一緒にいるの?」

「たまたま玄関で一緒になって……」