だからバレンタインは嫌いだ。 バレンタインの時期は憂うつになる。 去年は菜緒子から貰ったチョコだけでよかったけど、今年はどうもそうはいかないだろう。 もうあんな目に合うのは散々だ。 ――――――――… 「嫌な事、思い出したな……」 あれから5年経ってるけど、一度植え付けられた苦い記憶は消えない。 「あ、尚斗兄」 「尚也…。今日仕事なかったのか?」 リビングに行こうとしてドアを開けたら、学校帰りの尚也がいた。 「仕事は無かったけど、事務所には行ってきた」 「事務所?」