―――――…… 「さみぃ…」 そんな俺の呟きに、この二人は何も反応しない。 この二人というのは、姉貴と菜緒子。 「これは争い。これは争い……」 「奈緒美姉、争いじゃないからね」 「菜緒子、甘いわね。一か八かの争いなのよ」 「一か八かって……」 姉貴と菜緒子が話している間も、俺は眠たい目を擦りながら、寒さに耐える。 現在の時刻、元日の朝9時30分。 俺の予定では、まだこの時間は寝ているはずだった。 だけど俺は……―― 姉貴と菜緒子の初売りに付き合わされてる。