坂田家の日常




「あたし、直樹兄がプリン食べたいって言ってるから、買ってくるね」

「おい……」

「あとは尚斗兄、よろしく。ママと七ちゃんは今日、親戚の家に避難してるから!!」

「ちょっ……」



俺を置いて行くなっ!!



「なおどぉ〜…」

「ったく……」



風邪なんかひいたこともないような――風邪の仮病はあるけど――そんな奴が何を仕出かすかわかったもんじゃない。



菜緒子、お前逃げたな。



当分菜緒子は帰って来ないだろうし、靴を見る限り姉貴も尚也もいない。



親父もまだ帰っては来ないだろうから、家にいるのは俺だけって事か。



「マジ勘弁……」