「…………」 家に帰ると、家の中は騒然としていた。 何事だよ……。 「……菜緒子、」 「あ、尚斗兄おかえり」 「何だよ、アイツ……」 「風邪が酷すぎて、頭がおかしくなったんだよ……」 リビングで呻き声をあげる兄貴。 呻き声は玄関にまで聞こえてきたほど。 「うぅ…な…お…」 「何だよ兄貴……。部屋で寝てろ」 「それがね、布団が汗で濡れちゃって、気持ち悪いんだって」 「………」 「直樹兄を尚斗兄の部屋で寝かせるのも、尚斗兄が怒るしなぁ…って思って」 それは賢明な判断だ。