知弥は私の首筋に顔を埋めて、そっと牙を立てる。


チクリと針が刺さったような感覚が躰を駆け抜けた。


何度も私の首筋に牙を立てるうちに、要領を得て、上手く吸えるようになっていた。吸う量も牙を立てる加減も抜群。


血を吸われると躰に甘い痺れが伝わる。

躰は痛みではなく、悦楽を感じていた。


「ごちそうさま」


知弥は律儀に礼を言って、私の血で汚れて口許を手の甲で拭いながら、顔を上げた。


「男と女の交わりは血の吸う感覚と同じかもしれない」


「えっ!?」


「・・・」


知弥は黙って、私の唇にキスをした。


自分の血の味がする。

知弥は私の蜜のように甘いと言うけど…私には鉄の味しかしない。