私は目線だけ、知弥に向けた。


「どうした?」


「知弥もドキドキしてるの?」


「少しは、な」


「少しじゃないよ!私と同じくらいドキドキしてる…」


「そうか…どれ」


知弥が私の胸元に手を伸ばす。


私は阻止のために、手の甲を抓った。


「不公平だろ?…お前に触れなきゃ…儀式は進まない…観念しろ。花奏」


「・・・」


何故か…強引に唇すらも奪おうとしない。