巧みな彼の言葉に心を奪われて、私は知貴様の腕に落ちた。



私は彼の着ていた直衣で露な躰を隠す。


彼は私の着ていた桜色の衣で躰を隠した。



「私も実は物の怪とは顔見知りです…」


「えっ?」


「…京では有名な陰陽師の安倍晴明様に魅せられて、帝の膝元から離れ、陰陽寮に弟と共に身を置きました」



帝のお膝元。
藤原氏の者。


それだけで、知貴様は将来を期待された出世頭。


そのエリートコースを捨てて、陰陽の世界に。


「何故?そのようなことを…貴方も私を愚かだとお思いですか?」