「早速…俺の届けた桜色の衣を着て下さったのですね…」



「え、あ…」


私としたことが衣の袖を御簾の僅かな隙間からはみ出させていた。



私は慌てて、袖を御簾の中に入れようと引っ張ったけど。


知貴様は持っていた扇子で裾を押さえた。


「お気に召して頂けて光栄です…」


御簾の中へと入り込んできた。



私は慌てて、持っていた扇子で顔を隠す。



「隠しても無駄です…桜の君の顔はこの知貴の脳裏にしっかりと焼き付いております」


「私は昨日申した通り…一夜限りの相手は…」


「一夜の逢瀬とは私はあなたを娶るつもりですよ…桜の君」