「・・・」


私たち本家と分家の力の差と確執を小笠原家は知っている。
内部事情も知って、見合話を持ち込んだと私は見た。


分家よりも、小笠原家にウチは乗っ取られそう感じ。



「も、目的は何?」


「目的?あ、お前は俺の子供を産めばいいんだ…子供は小笠原家が引き取る…そのあとはお前の自由にすればいい…離婚には率先して応じるぞ…」



「だ、誰が…先生の子供なんて…私…恋だってしたことないのに…いきなり結婚、その上、子供って…何??」



「もしかして、この間のキスは…初めてだったのか?」



「そ、そうよ・・・」



「クッ」

喉奥で噛み殺した笑いを漏らす小笠原先生。
煙草の煙を窓に向かって吐いた。


吸いかけの煙草をエベレストの頂にそっと置いた。


私に向かって、ニヤッと怪しげな微笑み。