「・・・」


そして、壁際に追い詰めてゆく。



「躰も鈍感なのか?」


「あ・・・いえ」


「それならいい」


知弥は私の顎を指で持ち上げて、唇を重ねた。最初は軽く、小鳥同士が啄むようなキスだけど、次第に深く激しいキスに変えていく。


私に息を継がせるコトも忘れない。その気遣いが嬉しいけど、キスの時間を長くしていくから、私としては複雑。


「今夜は朝まで眠らせない…」


知弥の紫色の瞳は緋色に変化し、私の血を求める。


「血も躰も俺に捧げろ」


私は妖の花嫁ーーー・・・

知弥は私の首筋に顔を埋めて、牙を立てた。

薄明かりの部屋に響く知弥が私の血を吸う音。

ワザと音を立て啜り、私の官能を煽る。


私の早鐘を打った鼓動は鼓膜まで響かせていく。

今夜の知弥は貪欲なオーラを纏っていた。


血も躰も知弥のモノーーーー・・・

  ♥END♥