互いの胸を短刀で貫き自害。 先に弟が息絶えた。 まだ、温もりの残る弟の亡骸を抱きながら、脳裏に掠めるのは京に残した妻の桜の君。 我の奢りが招いた失態。 早く、晴明様に我らの力を認めてもらいたくて、大いなる妖しの『紅鬼』に挑んだ。 桜等、咲かぬ秋の宵に我の命は散ろうとしている。 -------紅い瞳に映る儚げな桜の君の横顔。 そなたにもう一度、逢いたい。 …眠るように遠のく意識… 叶わぬ幻の逢瀬だったーーー・・・