花奏まで、俺の目の前で、爽爾に愛想良く笑っていた。片眉だけで、怒りを抑えながらも、心は嫉妬の焔が立っていた。



「爽爾君…教室に案内してあげる」


花奏が爽爾の上着の袖を掴んだ。


「いいなぁ~僕の袖も引っ張って…花奏さん」
俺を尻目に調子の乗った口調で滋弥が花奏に甘えた声を出す。

たくっ~何なんだ…こいつら。


「・・・」


俺には目も暮れず、花奏は3人の輩と先に歩いて行ってしまった。


今夜が褥だと言うのに…冷たい女。

意図的ではない分かるが、心の動揺は抑えられない。


鬼の力を手に入れても、俺はまだ、花奏を手に入れてなかった。