「滋貴…?」


俺と正反対に女人には奥手なタイプ。俺たちは双子ではないが、顔はよく似ていた。


「ほぉ~っ…お前の心を射止めた女人とは俺の知っている女人か?」


「え、あ…まぁー」


滋貴は紅潮させた頬を扇子で隠し、相槌を打つ。



「へぇ~っ。どこの女だ?京では噂になっている女か?」


「ええ~まぁ…『物の怪の姫』と噂されております」


「『物の怪の姫』?」


「兄上はご存知ないですか?」


俺の知らない女がまだ、京にいたとは。