「俺は妖だよ。妖の俺に弱い部分を見せちゃっていいの?」


「え、あ」


「巣食われるよ…」


急に、爽爾君の耳をピンと立て瞳を妖しく光らせ、臨戦態勢とも取れる行動に出た。


「・・・」


私も背筋を伸ばし、爽爾君を睨みつける。


「それで睨んでるの?妃女神ちゃん」


爽爾君はテーブルを叩きながら、大笑い。


私の眼力は全然、迫力なかったらしい。


一生懸命に睨んだつもりなんだけど。

今度、知弥に威嚇の仕方を訊こう。またしても、知弥の顔が脳裏を掠めた。


溜息が漏れ、知弥の躰を心配して渇いた瞳に涙が潤む。