「お前は爽爾!!?」


「・・・」


「お前がどうしてここに居る?」


「何…頭悪いの?知弥…これの狂い咲きの桜は父上が見せた『幻影』だよ」



「父上?」


「そうだよ」
爽爾は涼しげに笑って、俺を油断させる。コイツの笑顔の時は何か裏がある。
前回のコイツの笑いで、俺は裏をかかれ、酷い目に遭った。



「『幻影』とはな・・・」


「知弥…後ろ!!?」


花奏の叫びで、俺は後ろを振り返った。


凄まじい力で、大きく太い大樹の幹、躰を叩きつけられた。


その反動で、幻影だけど桜の花弁が粉雪のように舞い散る。



淡紅色に染まった世界を切り裂くように、白刃が弧を描き、俺に向かって来た。


俺は咄嗟に、横へと避け、刃の攻めを交わす。


「さすがは小笠原の当主だな」