《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~

「お前の血は甘くて、病みつきになる味だ…」


私は躰の中を駆け巡る甘い痺れに酔い、自然と悦の入った声を漏らす。




でも、その恍惚感は直ぐに消える。

知弥は私の首筋から顔を離し、満足げな微笑を湛えた。




「…もっとお前に俺を刻みつけたいが、あいにく、ご当主様から、お前の貞操を奪うのはもう少し後にしろとのご命令だ…」



「えっ!?」


「だから今夜も俺は何もしない・・・」



だから、昨日の夜は何も…しなかったの?



「理由は?」


「お前と俺が結ばれるのは…お前が当主となり、『妃女神』として一人前になってからの方がいいと言うコトだ」