「りこは俺のことしか見れないんですよ。」

その声が降ってくると同時に、ふわりと肩が包まれる。

もぅ本当に、何が現実かわからないよ…
「佐武さん…。」

私は泣きそうな声で隣に立つ人の名を呼ぶ。

「なっ、君は彼氏なのか?」
峰河さんの問いに佐武さんは一瞬私を見る。
そして肩を抱く右手に一層力が入る。

「そうです。俺はりこの彼氏です。だから、他人のものに勝手に手を出さないで下さい。」

そう宣言するなり彼は私の肩を抱いたまま、どこかへと去る。

峰河さんの声は聞こえてこない。