こっちを見なよ


「いえ、やっぱり峰河さんを見てた方が楽しいなって。」

「りこは安直っていうか、バカっていうか…。」

「バカとはよく言われますけど、佐武さんに言われたくありません!」
私は少し彼をにらむ。

佐武さんは目を見開いて、右手を口元にやった。

「なんですか?」

「いや、なんでもない。」
さっきとは裏腹に弱い口調になる。

「?」

目が泳ぐ彼を不思議そうに見つめる。


タッタッタッ…
足音に私は振り向く。

「葉月ー!」

「ごめん、りこ!あの教授ちょっと質問しただけなのに話長くて…」

「お疲れ~、熱心だねぇ。」

「お腹空いたでしょ、行こうか。」

「うんっ。」

私は佐武さんの方を向く。

「それじゃぁまた。」

私達は彼の隣を通り過ぎる。
葉月は軽く会釈をしていった。