ピンポーン
古いアパートの見た目とは違い可愛いチャイムの音が響く
「はい…………那由?」
中から出てきたのは
「ヒカリ…………さん?」
朱莉さんではなくヒカリという女性だった
「ヒカリって何処かで…………」
聞き覚えのある名前に不思議に思ったが珍しい名前でもないので何処かで聞いたのだろうと気にしなかった
「あの、朱莉は?」
「朱莉なら今買い物に………」
その時、ヒカリさんの声を遮るようにドサドサっと何かが落ちる音が後ろから聞こえた
振り返ると
「那由…………それにあんた………」
朱莉さんが私と東条くんの顔を交互に見つめた
「朱莉、話があるんだ」
「私には無い」
「朱莉…………」
「帰って。私忙しいから」
2人の会話に入る隙がなくただ手を握っていると
「那由と彼女さんも上がりなさい。朱莉も荷物持って入りなさい」
優しい声がその場を治めた
朱莉さんはキッと私を睨み先程落としたと思われる荷物を拾って家に入った
「肥佐方」
「あ………はい」
東条くんに腕をひかれ私達も家に上がった