宇李side


東条くんと繋がる右手からでもわかるほど東条くんの心臓の振動が伝わってくる


善は急げ


そんな訳で昨日の今日、私達は朱莉さんに会いに来ている

「………東条くん大丈夫ですか?」

「え?」

「凄い汗ですよ」

「まぁ、トラウマみたいなものだからな。朱莉は俺にとって特別だから」


朱莉さんは特別

その言葉は私を苦しめるがそれ以上に東条くんは苦しんでいる

「私は何があっても東条くんの味方ですからね」

微笑み東条くんを見上げると

「……んっ」

「あんたが傍に居てくれると心強い」

軽くキスされた

「東条くんは平気な顔してキスしますね」

「平気なんかじゃない。あんた見てるとその………」

そのあとはゴモゴモと何か言っていたが私には聞こえなかった


「行くぞ」

「……………ここが?」

そんなやり取りをしていると急に東条くんは立ち止まった

アパートの一室の前まで行くと


「大丈夫です。傍に居ますから」

東条くんは緊張しているのか言葉を発する代わりに繋がる手に力を加えた