しばらくして玄関のチャイムが鳴り響く

不意に窓を見ると空は暗闇に飲み込まれたようなほど暗かった


「……………あんた何だよ」


玄関の扉を開くと会いたいと願っていた彼


「東条くんっ」


飛び付くように抱きつくと東条くんは何も言わずそっと抱き締めてくれた


「……………東条くん」


「何?」


しばらく抱き締められていると冷静さを取り戻し我に返った時には恥ずかしさで顔が真っ赤になった


「何も聞かないんですか?」


「聞いて欲しい訳?」


「…………………そういう訳じゃないですけど」


東条くんは会いたいと我が儘を言った私の為に本当に会いに来てくれたけど理由は何も尋ねてこなかった



「俺とあんたは何でも話す仲でもない。例えそういう仲だとしても無理に聞くことじゃないだろ」


相変わらずの大人な考えに救われた気がした


「……………東条くん」



「何?」


「好きです」


どさくさに紛れて告白したが東条くんは


「寝言は寝て言え」


と、冷たく言われた